猟場で犬科の野生動物と出会う

遅くなりましたが2024年あけましておめでとうございます。年末年始は東北に雪中キャンプで遠征しておりましたが、能登半島の地震の知らせをキャンプ場で知り複雑な思いで東京に戻って来ました。亡くなった方々へのご冥福と被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。


今年の初猟は東北から戻って来てからいつもの山梨県に行って来ました。今回はその時の話になります。



2024年1月某日 単独猟 山梨県のいつもの猟場 天気晴れ 時折強風 最低気温-7℃/最高気温-1℃ 日の出6時55分 日の入16時57分 6時20分ベースキャンプスタート


先週末少しだけ降った雪がかろうじて日陰には残るが日が当たる部分にはほとんど残雪はない。スタート直後、残雪が残っている場所に鹿の足跡より先に2〜3匹の中型〜大型のイヌ科の動物の足跡を見つける。


スタート地点から前半の森にはほとんど鹿の気配を感じられなかった。5年前、野営中に野犬の狩らしきものに出会った事があるが野犬の姿はその時確認していなかった。だがその景色はあの日に見た光景によく似ていてかつての記憶が蘇る。その後も群れからはぐれたような単独か少数群れのメス鹿に出会うが警戒心がたかく逃げ足が止まらず早い。センター(自分で勝手にそう呼んでいる狩ポイント)頂上まで登り、途中やっと鹿の大きな群れに遭遇するがかなりのハイプレッシャーの様子で発砲チャンスに恵まれず。


頂上から巻いて下る途中で下から5〜6頭の鹿の群れが何かに追われるように上がって来る。それが2度も続いた。その後、良く太ったキツネが1匹私の方に駆け足で向かって来る。しかし私に気づいた瞬間方向を変え一瞬で消え去る。するとその直後1匹の野生動物が先ほどのキツネを追うかのように私の方向へ走って来る。色はブラウン系のハスキー犬または胡麻色の四国犬に似ている。大きさはハスキーより大型(がっしりして太く大きくみえた)。八木さんが撮影した秩父野犬に似ているがどちらかというとタイリクオオカミによく似ている。翌日、家族で初詣に三峯神社に行ったのだが三峯の売店で売られてる6万7千円のぬいぐるみに大きさや色がよく似ていた(笑)。


そしてもう少し離れたところにもう一匹見つける。こちらは白系で薄いキツネ色。国立科学博物館で展示されているニホンオオカミによく似ているが大きさは一頭目と同じ位で標本より大きい。いずれもコチラに気づくや否や方向を真逆に変え視界から消える。私からの距離は約70メートル。2匹の距離は約50メートル。振り返って逃げる時にまっすぐで先端が黒い尻尾が良く確認出来た。尾っぽはキツネに似ているがキツネより短かい。そのイヌ科の野生動物の力強いオーラと美しさに呆気を取られて目が離せずほんの5秒ほどの出来事で撮影は出来ず。


その後中腹まで山を下る。そこで1時間ほど休憩。焚き火をして湯を沸かし暖を取る。休憩中は何事も起こらず異常はなかった。ルートを今来たルートを引き返しいったん頂上まで戻ることにした。ここまで鹿は獲れていないが頭の中は今出会った野犬のことでいっぱいであった。


頂上に到着するが今日はまっすぐ下山する事にした。下山中もハイプレッシャーの鹿に何頭か出会うが出会うのは鹿だけではなかった。体重100kgは超えているであろう巨大なイノシシまで私の前に出て来てしまった。単独猟ではイノシシは岩化けしてじっと隠れていることが多いがこの日は巻狩りで追われているかのように何者から逃げて怯えているかのように物凄いスピードで「ブヒーッ!!!」と鳴きながら私の目の前を走り去って行った。


昔この猟場は地元の猟師により巻狩りが盛んに行われた場所であった。ここ数年私が単独で入るようになり地元の猟師も高齢化が進みこの猟場にはほとんど入らなくなった。なので近年、鹿のプレッシャーもだいぶ弱まって来ていた。しかしそれは毎回ではなくたまに今回のようなハイプレッシャーの日もある。何かの要因でこのようになるとは私もいろいろ想像していたがやっと今日その結論が出たように思える。彼らが何者であろうとここでは野生の営みが現在でも続けられているのであろう。


帰路に着くと背にした遠くの山々から冷たい北風に乗って彼らの遠吠えが聞こえたような気がした。

Workshop Vuovdi / 東京下町の小さな森の工房

プオレペアイッヴィ〜♪【Vuovdi】はラップランド北部サーミ語で『森』 管理人はディアハンター&ヤマメハンターの東京スナフキン。サーミから学んだ生活の知恵を生かし、ブッシュクラフト的ハンティングやフライフィッシング、野営、アウトドアジビエに関する記事を投稿しています。