単独忍び猟において装備は永遠の課題である。前回の『狩猟とキャンプ4』では自分の単独猟での装備を紹介させてもらったが今回はそのアップデート版となる内容である。ミステリーランチのハンターバッグも購入から2年間使ってみたのでこちらも参考にしてもらいたい。また私の単独猟での解体方法も道具とともに最後の方に紹介するので参考になれば幸いである。
私の荷物はベルトキットとバックパック、2つに分けられる。まずはベルトキットの内容がこちら。
① 作業用革手袋 鹿を運んだり木を切って薪を作ったり焚き火をするときに使用する。
② 火熾し道具 火打石(チャークロス、麻紐を含む)、ファイヤースティール、マッチ、ファットウッド、火吹き棒。必ず火熾し道具はバックアップも含め数種類持ち歩く。もちろん焚き火の燃料や焚き付けは現場調達。
③ ティッシュ、ウェットティッシュ(緊急時に必要!ウェットティッシュは解体時の消毒に)
④ ノコギリ、解体ナイフ、フィールドシャープナー(ファルクニーベン)
⑤ 爆竹(クマ対策用)
⑥ アルコールストーブ、燃料、ストーブ用五徳
⑦ カップ、スプーンフォーク
⑧ パラコード 工作用(シェルターを作ったり色々なことに使う)
休憩時や解体作業中はバックパックを下ろして作業することが多い。なのでこのようにバックパックを下ろしても手元に残しておきたい道具はベルトキットに収容するようにしている。
次にバックパックの中身がこちら。
① UL焚火台 ソロキャンプでも使用しているピコグリル(A4サイズの方)
② ロープ類(ザイル、パラコード) 登攀補助ロープとして使ったり鹿の移動用に使う。
③ 雨具(ポンチョ) 雨具として使うだけではなくビバーク時のシェルターを作る時の幕体にもなる。クッション(サーマレストZライト) お尻を濡らさない用
④ ファットウッド予備(火口、焚き付け用)
⑤ シャベル(ガーバー E-TOOL) 残滓埋設処理用、その他作業用
⑥ ハイドレーション(給水、食事用)行動しながら給水出来るので忍び猟にはおすすめ。真冬の猟期では凍結防止対策は必須。
⑦ 星野道夫の本、狩猟日記(手帳)単独忍び猟には読書がおすすめ
⑧ 作業用ナイフ(プーッコ)、ケトル(900ml)お湯を沸かすだけではなく鍋としても使う。
⑨ トレッキングポール、グローブ(寒い時期は防寒手袋)
⑩ ビィビィサック、ダウンジャケット ビバーク用(緊急用で重量もないのでリュックの底の方にしまっておけばOK
11 解体グッズポーチ
最後に解体グッズポーチの中身であるが、あくまでもこれらは単独猟で現場解体を前提とした持ち物である。解体場へ持ち込む場合であれば各自治体、各猟友会、解体施設の指示に従って頂きたい。
① ゲームバッグ 通気性がよくドリップを吸ってくれるので鹿肉の運搬に適している。洗濯して再使用可
② 結束バンド(腸結束用)お肉の上にオソマがポロっと落ちないように!
③ キッチンペーパー 肉に毛がついたり汚れたときにペーパーを使って除去する。
④ 衛生手袋 予備は多めに
⑤ ブルーシート(大きさは畳2畳ほど)積雪がない場合シートの上で解体をする。
⑥ 土嚢袋 焚火で使った灰や燃えかすなど、ゴミ袋として使う。オス鹿の頭を隠したい時にも!
⑦ 厚手のビニール袋 剥いだ皮や頭など採集袋として使う。
⑧ メッシュ袋 2頭とれた場合ゲームバッグの中での分別用に使う
⑨ ファーストエイドキット 必須!
ちなみにここまでの装備の重量は水2リットルを含めて約12Kg。これに鹿肉が加わるので普段の筋トレ、体力作りは必須w
以上がアップデート版の私の持ち物である。前回の持ち物と比べていただくとかなりスッキリとした内容になっていると思う。特にソロキャンプやUL登山をやる人はわかると思うがアクティビティの目的、場所、時間によって装備は変わるし個人によっても内容はさまざまだ。装備に関しては各々が経験値から生み出すものであって人の真似をしてもきっと違和感を感じるであろう。参考程度にしていただければ幸いに思う。
【番外編】単独忍び猟での解体作業
いきなりだが『ゴールデンカムイ』の谷垣ニシパの解体シーンである。この漫画、単独猟をやるハンターにとってはなかなか興味があるシーンが満載である。こちらはオスの当歳児なので獲物は小さいが現場解体で腹開きにするとこうなる。
北海道などでは背開きにして肉だけ採るハンターも多いが、私の場合は皮も採りたいのでどちらかというと腹開きが多い。
皮は半身剥がしたらひっくり返して剥がした皮を下にして反対側も剥がせば肉は汚れない。穴から頭(または頭から穴)に剥いでいくのではなく、右半身から左半身(または左半身から右半身)へと皮を剥いでいく。
しかし現場解体といえど衛生面を考えると北海道の積雪期の狩猟のように雪の上で豪快に解体できれば良いが私の猟場では雪が積もることはあるがいつもそのような環境ではない。なので私は先の記事にも書いた通りブルーシートを敷いてその上で解体するようにしている。
どうしても解体施設の解体方法に慣れていて現場解体に抵抗がある方はこのような治具を作ると良いだろう。しかし滑車やロープは結構な重量増しになることは覚悟したい。あと現場に丈夫な高い樹木がないと滑車が掛けられない。標高の高い地域ではせっかく持って行っても手持ちぶたさになってしまうだろう。
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