狩猟と焚き火

狩猟には焚き火が欠かせない。厳冬期の狩猟では冷えきった体を焚き火で温め、温かい飲み物は心と体を芯から温めてくれる。長丁場の猟行では食事も焚き火で作る。登坂で汗をかいて濡れた下着や雪で湿った衣類は焚き火を使って乾かす。アウトドア用のバーナーやストーブがいくら軽量化して進化したとしても焚き火にかなうものはこの先ないと思っている。

狩猟での焚き火だが道具は場合によってライトウェイトの焚き火台を使うが、持ち物として必要なのは火口に着火器具だけだ。焚き付けや薪は山にあるもので充分である。道具が減らせることは狩猟にとっては最重要項目である。

そんなに万能な焚き火ではあるが狩猟での焚き火にはスキルが求められる。猟場には薪を販売している売店はないので山の中で薪も焚き付けも採集しなくてはならない。山野には倒木や枯葉や枯枝がいくらでもあるが地面に落ちているものは水分を多く含んでいるため薪や焚き付けには適さない。山ではなるべく立ち枯れしているような乾燥した木を探して採集する。

またキャンプ場ではないので炭捨て場もゴミ捨て場もない。猟場では焚き火は跡を残してはならない。灰や燃えかすも残してはならない。必要なのは狩猟者のマナーとスキル、感謝の気持ちは思いやりがあれば自然と生まれる。

だから狩猟者は皆優しい。獲物が獲れても獲れなくても焚き火の前では顔は怖くても心は笑顔である。私はそんな焚き火がある狩猟を心から愛している。

Workshop Vuovdi / 東京下町の小さな森の工房

プオレペアイッヴィ〜♪【Vuovdi】はラップランド北部サーミ語で『森』 管理人はディアハンターの東京スナフキン。サーミから学んだ生活の知恵を生かし、ブッシュクラフト的ハンティングやフライフィッシング、野営、アウトドアジビエに関する記事を投稿しています。